ディスカス飼育って難しい?経験者が理由を掘り下げて解説

ディスカス飼育って難しい?経験者が理由を掘り下げて解説

ディスカスを飼うのは難しい?
ディスカスってキレイだけど、飼うのは難しい……と思っているアクアリストは多いと思います。
ディスカスは熱帯魚の王様と言われるくらいの存在感を誇りますが、上級者向けとなっている解説書もありますね。
ただ実際にディスカスを飼育してみると、意外と普通に飼えると感じています。
ここではディスカス飼育が難しいと言われる理由について、丁寧に解説していきましょう。

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あわせて参考にしてください。

ディスカス飼育の難易度はどの程度か?

たまにディスカスを飼育する難易度についての議論がありますが、率直に言って難易度が低い/高いというのはナンセンスだと思います。
生き物を人工的な環境で飼育している限り、カンタンに飼えるということはあり得ないです。
カンタンと言われる金魚の飼育であっても、白点病になったり水質悪化したりといったトラブルはつきもの。
したがってディスカスだから難しい、他の魚だったらカンタンという話にはなりません。
ただまったく熱帯魚飼育の経験のない人がディスカスを飼うのは難しいでしょう。
小型水槽でテトラやグッピーを飼育している人が、大きな水槽でなにか飼ってみたいということなら、ディスカスはおすすめできる魚ですよ。

とはいえ世間一般でディスカス飼育は難しいという定説があるのも事実。
次の項ではディスカスが難しいと言われる理由を掘り下げていきます。

ディスカスの飼育が難しい理由と注意点

ディスカスは熱帯魚の中でも人気があり、美しい姿と鮮やかな色彩が魅力的です。しかし、ディスカスの飼育は一般的な熱帯魚に比べてやや難易度が高いとされています。
ここではディスカス飼育が難しい理由について考えていきましょう。

高価である

ディスカス 価格
一匹数百円で購入できる小型熱帯魚と異なり、ディスカスは一匹4,000円?数万円という価格で販売されています。手軽な趣味としては金銭的な負担が大きいと感じるかもしれませんね。
ちなみに私は2万円を払ってテトラオドンショウテデニーを購入したりするので感覚がマヒしているのか、4,000円のディスカスは安く感じてしまいます。

大きな水槽が必要

ディスカス水槽の実例
ディスカスは体長が20センチ程度まで大きくなる上に、体高もかなり高くなる魚です。
したがって最低でも60センチワイド程度の大きな水槽が必要になりますね。
最近はボトルアクアリウムなど小型の水槽が人気であるため、ディスカスのように大きな設備を必要とする熱帯魚は避けられる傾向にあります。

エサが特殊である

ディスカスのエサ
ディスカスは一般的な熱帯魚用の人工餌を好みません。
冷凍アカムシやディスカスハンバーグと呼ばれる、特殊な冷凍餌を与える必要があります。
このような冷凍餌は保存に手間がかかり、費用もかかります。

高水温を好み、他の魚との混泳が難しい

ディスカスは高水温を好む
ディスカスが好む水温は30℃程度であり、一般的な熱帯魚飼育に適した水温(26℃程度)より高くなります。
したがって他の熱帯魚とディスカスを混泳させるというのは、かなり難しくなります。
また小型の魚の場合はディスカスが捕食してしまう危険があるので、なおさら混泳させるのは難しい。
以上のような特殊さや制限があるので、ディスカス飼育は難しいという印象を与えるのでしょう。

難しくても楽しいディスカス飼育

上記の通り一般的な熱帯魚飼育とは難しい面もあるディスカスですが、一回飼育してみるとその魅力に取り憑かれます。
ディスカスだけをひたすら飼い続けて、繁殖までしてしまうアクアリストも多いですよ。

そんなディスカスの魅力を挙げてみると、

迫力ある体型と豊かな色彩バリエーション
一匹ごとに違う個性
人になつきやすい性格

といった感じになるでしょう。
個性的なペットフィッシュとしての魅力が溢れている魚種だとおもいますよ。

失敗しないディスカス飼育水槽の選び方

熱帯魚飼育には欠かせない水槽選び。
ここではディスカスの飼育を念頭に、最適な水槽の選択、設置スペースの確保、そして構造的な選択について解説します。

幅とともに高さにも余裕がある水槽を選ぶ

熱帯魚飼育で最も一般的な水槽は、60センチ水槽と呼ばれるものです。
60センチ水槽は幅60センチ×奥行30センチ×高さ36センチという規格があり、非常に価格もリーズナブルです。
この60センチ水槽でもディスカスを飼育することは可能なのですが、

  • 奥行きに余裕がない
  • 高さが低い

という点からオススメはできません。
とくにディスカスは体高が高くなる魚種なので、水槽の高さがないと窮屈な印象になってしまいます。
したがって私がオススメする水槽サイズは、
ディスカス飼育に適した水槽サイズ

  • 60センチワイド水槽(幅60x奥行45x高さ45)
  • 90センチ水槽(幅90×奥行45×高さ45)

の二種類です。
広い設置スペースが確保できるのなら90センチ水槽が良いですが、60センチワイド水槽でも十分にディスカス飼育を楽しめますよ。

余裕のある設置スペースを確保する

大きな水槽を置く設置スペースについては、最初に慎重に決めておく必要があります。
水を入れると100kgをゆうに超える重量がありますから、しっかりとした構造の床が望ましいです。
そして水槽台の上に水槽を設置するので、トータルの高さは130センチ程度が必要。
また水槽の裏側や両サイドに10センチ程度の空間を確保しないと、メンテナンスのときに苦労します。
このような点に注意しながら、慎重に設置場所を決めてください。

フレーム有りの水槽がベター

ディスカス フレーム付き水槽
最近は水草レイアウトをキレイに見せるためのオールガラス水槽が主流です。
オールガラス水槽はフレームが無いのでスッキリとした見た目が特徴ですが、デメリットもあります。
それはガラスの厚みがあるため重量があるということと、上部式フィルターが置きにくいという点。
特にディスカス飼育では上部式フィルターの優位性があるため、オールガラス水槽はオススメできません。
しっかりとした構造のフレーム有り水槽を選ぶべきでしょう。

初心者にもできるディスカス飼育のポイント

実際にディスカスを飼育してみたいという初心者アクアリスト向けに、押さえておきたいポイントを挙げてみましょう。

水槽サイズに合わせた匹数を飼育する

ディスカスは成魚になれば体長20センチになるので、いわゆる中型熱帯魚に分類されています。
したがって幼魚をお迎えする場合でも、成長した後のサイズを考慮して匹数を調整しましょう。

水槽サイズ 匹数
60センチ規格 1〜2匹
60センチワイド 3〜5匹
90センチ 6〜9匹

上表は水槽サイズとディスカス成魚の匹数をまとめたものです。
単独飼育であれば60センチ水槽でも十分ですが、せっかくディスカスを飼育するのなら美しい群泳を見たいもの。
順調に成長すれば迫力満点ですよ。

 

フィルターは上部式+スポンジフィルター

ディスカス ろ過フィルター
ディスカスは熱帯魚の中でも大食漢で、水が汚れやすいという特徴があります。
したがってろ過フィルターも高性能かつメンテナンス性に優れたものが求められます。
ろ過性能が高いフィルターといえば外部フィルターと上部フィルターが挙げられますが、外部フィルターの場合はパーツを外して洗浄しなければいけないので、メンテナンス性に劣ります
上部フィルターの場合は基本的にろ材を交換するだけで済むので、非常にメンテナンスがラクですね。
ディスカス水槽で使うフィルターは上部フィルターで間違いないでしょう。
さらに上部フィルターのみでは心もとないので、サブとしてスポンジフィルターを付けておくと安心です。
スポンジフィルターも、定期的にスポンジ部分を洗うだけでメンテナンスが完了するのでオススメですよ。

餌をケチらない

前述の通りディスカスは大食漢なので、どんどんエサを食べてくれます。
成長期であれば一日2〜3回のエサやりが必要。
しかもディスカスハンバーグや冷凍赤虫などが水中に散らかりがちなので、水が汚れやすくなります。
「少しエサやりを控えたほうがラクなのでは?」と思いがちですが、しっかりエサを与えないとディスカスは大きくなってくれません。
ディスカス飼育で失敗するバターンとして、成長しないまま次第に痩せていって死んでしまうことが多いのです。
したがってエサはケチらず、成長期にはなるべくたくさん与えましょう

水換えをサボらない

ディスカス水槽の水換え頻度
いくらろ過性能に優れた上部フィルターを付けても、その能力には限界があります。
エサの食べ残しでどんどん汚れていけば、水質悪化によりディスカスの調子が崩れてしまうかもしれません。
したがって通常の熱帯魚水槽に比べると、ディスカス水槽では頻繁な水換えが必要です。
最低でも週2〜3回、できれば毎日でも水換えすることが望ましいです。
水換えする量も水槽全体の半分〜8割程度と、通常よりも多く換えてあげます。
バクテリアを残すよりも、なるべく汚れを排出させるというイメージですね。
水換え作業は大変ですが、長いホースや浄水器を活用すれば省力化もできます。
ぜひ工夫しながら水換え作業を習慣化させていきましょう。

手間はかかるがあり余る魅力があるディスカス飼育

ここまで読んできて、「手間がかかって面倒くさそうだな……」と思われたかもしれません。たしかにディスカスは餌やりにしても水換えにしても、他の観賞魚より手間がかかると言えるでしょう。
しかしディスカスの飼育にはそんな面倒くささを吹き飛ばすくらいの魅力があるものです。
まさにディスカス沼と呼んでもいいかもしれません。
この記事を読んでちょっとでもディスカスに興味が湧いたのなら、ぜひ飼育にチャレンジしてください。