アベニーパファーと他の熱帯魚との混泳は難しい、という話を聞いたことはありませんか?
たしかに肉食性の淡水フグであるアベニーは、他の魚を襲う危険性もあります。
ただ私の飼育経験では、きちんと環境を整えていれば十分に混泳は可能です。
アベニーを水槽に入れることでメリットもありますから、ぜひ混泳にチャレンジしてみましょう。
まずはアベニーパファーの基本的な性格として、肉食魚らしい攻撃性があることを押さえておきたいですね。
同種同士でも小競り合いをしますし、他の魚種も追い払おうとする動きがあります。
特にオスの場合は縄張り意識が顕著になるようです。
ただその攻撃性も自分のテリトリーに他の魚が入ってきたときだけで、それ以上深追いすることはありません。
そもそもアベニーパファーが主食としているのは貝類や昆虫などで、他の魚を食べることはほとんどありません。
アベニー自身が小型魚であり泳ぎが遅いということもあり、必要以上に他の魚を追いかけ回すことは少ないです。
この基本的な性格を押さえておけば、アベニーパファーの混泳はさほど難しいことはないでしょう。
上記の通りアベニーパファーが他魚と争うのは縄張り意識が原因ですから、トラブルを避けるためにはアベニーのテリトリーを確保してあげることを意識しましょう。
最近では手軽な小型水槽で水草レイアウトを楽しむアクアリストが多いですね。
ただアベニーパファーなどを混泳させることを考えると、小型水槽では不安が残ります。
まず水量が少なく水が汚れやすくなること。
アベニーパファーは基本的に生餌を与えますから、人工餌のみで育てる魚より水が汚れるスピードが早いです。
小型水槽の場合は、頻繁な水換えが必要になります。
また小型水槽では魚同士の距離が近くなり、縄張り争いのリスクが高まります。
アベニーパファーが他魚を攻撃する機会も増えてしまいますね。
他魚との混泳を安全に楽しみたいのなら、最低でも60センチ規格水槽をオススメします。
60センチ以上の幅があれば十分な遊泳スペースを確保できますし、水草や流木などを配置することで隠れ場所を作ることも容易です。
60センチ規格水槽の場合は水槽が約60リットルありますから、小型魚であれば30〜50匹程度入れられますよ。
小型魚がたくさん入れられるからといって、アベニーパファーを何十匹も入れることは避けましょう。
アベニーは他の小型魚より広いスペースを必要としますし、アベニーの数が多くなることでどうしても他魚が攻撃されやすくなります。
目安としては他魚の数:アベニーの数=20:1程度としてください。
例えば60センチ規格水槽で小型魚を50匹入れるのなら、アベニーの数は1匹か2匹に留めておきます。
その程度の比率であれば、混泳でトラブルになることはないでしょう。
ちなみにわが家の混泳水槽では、60センチワイド(幅60×奥行45×高さ45)の中にアベニーを一匹入れています。
他魚とトラブルになることはなく、スネール駆除要員として活躍していますよ。
アベニーパファーとの混泳で注意すべきなのは、魚よりもむしろ貝類です。
石巻貝やレッドラムズホーンなどの貝類は、水槽のガラス面についた苔を食べてくれることで重宝されています。
しかしこれらの貝類は、アベニーパファーの大好物。
一緒に入れておくと、いつの間にか食べられてしまいます。
したがってアベニーパファーのいる水槽でコケ取り生体を入れる際は、なるべく貝類を避けてオトシンクルスなどの魚を入れるようにしましょう。
ちなみに私の経験ですは、貝類の中でもカバグチカノコガイやフネアマガイなど大きな種類になると、アベニーパファーは攻撃しにくい傾向にあります。
もし貝類を入れるのなら、比較的大きめのものを入れてみてください。
アベニーパファーと他の魚を混泳させると、アベニーがエサをとれずに痩せていくということが起こる可能性があります。
もともと人工餌が嫌いでより好みの激しいアベニーですから、他魚とのエサの取り合いで負けてしまうことが多いのです。
したがって餌やりで工夫してあげる必要があります。
まず一般的なフレークなどの人工餌を与えて、他の魚のお腹を満たしてあげます。
その後にアベニーが好む冷凍赤虫などを入れて、アベニーが確実に食べられるようにしてあげましょう。
それでもアベニーが痩せてしまうような場合は、ラムズホーンなどの巻貝を入れて食べてもらうという方法もあります。
ラムズホーンは他の水草水槽などに入れておけば勝手に増えてくれるので、ストック水槽として準備しておいても良いでしょう。
また後述する通り、スネールが増えて困っている水槽にアベニーをお迎えするというのも有効です。
最近は水草で美しい水景をつくるアクアリウムが流行っていますね。
インテリアとしても非常にキレイな水草レイアウト水槽ですが、トラブルが無いわけではありません。
水草水槽で特に悩まされるのが、コケとスネールでしょう。
カノコガイなどの小さな貝を総称してスネールと呼びますが、水草に付着した卵からあっというまに増えて手がつけられなくなります。
こうなると美しい水草も台無しですよね。
このスネール対策として貝を食べてくれる生体を入れるという方法がありますが、最も効果的なのがアベニーパファー。
アベニーを一匹入れておくだけで、大喜びでスネールを捕食してくれます。
スネールに悩まされているアクアリストであれば、アベニー混泳にチャレンジするメリットは大きいですね。
水槽サイズなどの基本的なポイントを押さえておけば、たいていの小型魚はアベニーパファーと混泳可能です。
ここでは私が実際に60センチワイド水槽でアベニーと混泳させている魚種をご紹介しましょう。
ネオンテトラ
熱帯魚といえばネオンテトラ!というくらいにポピュラーな種類。
体長が4センチ程度と大きくなり、遊泳力もあるのでアベニーと混泳させることが可能です。
ネオンドワーフレインボー
ネオンドワーフレインボーは体長5〜6センチと、小型魚の中ではやや大きめの種類です。
遊泳力が高く他魚を追いかけ回すこともありますが、口が小さいのでケガをさせたりといったトラブルになりません。
とても丈夫でエサもなんでも食べてくれるので、初心者にも向いている魚ですよ。
ラミーノーズテトラ
赤い顔と白い魚体が特徴的なカラシンの一種です。
ネオンテトラよりもやや大きく、遊泳力もあります。
性格は大人しいので、他魚とトラブルになることもありません。
コリドラス・アエネウス(アルビノ)
いわゆる白コリと呼ばれ、どんなショップでも販売されている普及型のコリドラスです。
コリドラスというとヒレが長く、アベニーにかじられてしまいそうですが、意外と混泳トラブルがありません。
お互いの遊泳層が異なっていることと、意外に白コリの遊泳力が高いことが良い結果に繋がっているのでしょう。
コリドラスピグミー
いわゆるチビコリと呼ばれる、小型のコリドラスの一種です。
比較的遊泳力があり、群れで移動するのが可愛らしいですね。
メダカ
熱帯魚とメダカを混泳させている人は意外に少ないですが、特に問題なく同居できています。
メダカは水温30℃以上の真夏でも平気で生きられるので、熱帯魚水槽でも問題有りません。
メダカは主に上層を泳ぐので、アベニーパファーとトラブルになることもないです。
アフリカンランプアイ
アフリカンランプアイは、名前のとおりアフリカ原産のメダカの仲間です。
照明を反射してキラリと光る目が特徴的ですね。
普通のメダカと同様に上層を泳ぐので、アベニーと衝突することはまずないでしょう。
ミクロラスボラハナビ
小型美魚として人気のあるミクロラスボラハナビ。
メダカよりも小さくて他魚に襲われそうなイメージがありますが、意外とタフで混泳にも向いています。
これまで解説してきたとおり、アベニーパファーと他魚との混泳は決して難しくないと言えます。
解説書や専門家の意見を鵜呑みにするのではなく、いろいろな可能性を試せるのがアクアリウムの良いところ。
メリットも大きいアベニーパファー混泳、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?